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「路上から安定就労へ~女性相談会で私は変わった」

「路上から安定就労へ~女性相談会で私は変わった」

いまも続くコロナ禍はとりわけ女性に厳しい試練をもたらした。一方で、「女性による女性のための」支え合い活動が各地で立ち上っている。そうした危機的状況の中での新たな「出会い」がある女性の暮らしを大きく変えるきっかけにもなっている。 (メグさんの場合・前記事はこちら) 「この数カ月で1年分くらいの『ありがとう』を言っていますよ」 昨年、メグさんは、背筋をのばして少し照れ臭そうに話しはじめた。 関西出身のメグさんは20代でファストフード店の正社員職を見つけ、結婚を前提に交際していた男性もいた。しかし、二人の新居に母親が「同居したい」と言い出したことをきっかけに破談。家を飛び出して水商売に浸かり、デリヘル嬢として生計を立てていた。 病気をしたことで鬱状態になっていたメグさんは、気分を変えるために友人から3万円を借りて上京。遊びで遣ってしまった旅費を取り返したら関西に戻るつもりで、歌舞伎町の路上に立った。東京に来たのは7年ぶり。新規参入の若手が増え、一回の料金が3分の1に激減した。50代になっていたメグさんはさらに収入が減り、関西に戻るこ
Chie Matsumoto
ウクライナ紛争を伝える喉と舌  マス・コミの戦争報道技術力を評価する

ウクライナ紛争を伝える喉と舌  マス・コミの戦争報道技術力を評価する

はじめに 2022年2月24日に始まった、ロシアのウクライナ侵攻についてのマス・コミ報道をアンフィルターとしての目線で批判・検証したい。本稿は、デイビッド・マックニール記者から示された、日本のテレビ報道が現地取材を避けている状況を検討した論考を踏まえ、そこで示されなかった領域にも焦点を当て、ウクライナ侵攻についての報道の問題をさらに深く議論する材料としたい。 ウクライナ侵攻に関する歴史的背景 現在のウクライナ紛争を読み解く前提として、歴史的な背景を把握しておく必要があるだろう。しかし、多くの日本人にとって旧東欧諸国の一つにすぎないウクライナの歴史などはほとんど関心がなかったのが実態であるはずだ。加えて言えば、アメリカの政治学者イアン・ブレマーがNHK教育テレビETV特集(『ウクライナ侵攻が変える世界』※Unfiltered 注)のインタビューで答えていたが、ソ連崩壊以降の30年間、西側全体がこの地域に無関心だった。そのような西側目線からみると、なぜ、プーチンのロシアがウクライナに固執している(ようにみえる)のか理解し難いだろう。これには第2次世界大戦の独ソ戦から見直す必要がある。
OATES.
戦火の列から遠ざかる日本メディア なぜウクライナからの報道を避けるのか

戦火の列から遠ざかる日本メディア なぜウクライナからの報道を避けるのか

2月24日のロシアによるウクライナ侵攻以来、日本のメディアは他国と同様に、後れを取らないよう必死に報道している。しかし各国と違うのは、ウクライナの首都キーウ(旧キエフ)やその他主要都市から取材する日本のテレビ局や新聞社の記者が少ないことだ。日本のテレビで現地からレポートするのはフリーランス記者であり、安全な日本のスタジオから8000キロ先で起こっている戦争を分析する専門家の姿ばかりが放映されている。これに対して、AFP通信東京特派員のカリン西村記者が、官邸記者会見で岸田文雄首相に理由を尋ねた。 岸田首相は次のように回答した。「ウクライナは危険な状況であり、日本は目的の如何を問わず、同国への渡航をやめていただきたいとお願いしています。ウクライナにおいては、皆さんもよくご存知のように、いまなお激しい戦闘が各地で続いています。命の危険があります。こうした緊迫した状況でありますので、政府の取り組みについてもぜひご理解とご協力をお願いしたいというのが、この問題に対する政府からの考え方ということですので、ぜひご理解をいただきたいと思います」 このやり取りを聞いて既視感を覚えた人もいるかもしれな
David McNeill