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東南アジアの労働者や地域が 日本の焼却炉に反対するわけ

東南アジアの労働者や地域が 日本の焼却炉に反対するわけ

この記事は、以下の団体からの支援を受けて執筆され、Asian American Journalists Association (AAJA) から Journalism Excellency Awards 2023を受賞しています。   渡辺歩さんは、東京都の清掃労働者だ。毎朝、都内の渋滞を避けるために午前6時に家を出て、朝8時に職場に着き、東京23区の各家庭や事業所のごみを収集する。日によって、資源ごみや不燃ごみ、そして最も量の多い可燃ごみを回収する。 薄いプラごみや布、汚れた紙製品などの有機物は、都内の清掃工場へと運ばれる。この工場は、東京23区清掃一部事務組合が操業する。東京23区内では、工場がない中野区や荒川区、工場が2つある練馬区や世田谷区もあり、清掃工場は全部で21区に位置する。大阪で1960年代に近代的なごみ焼却場が操業して以来、70~80年代にかけての急速な経済発展とごみの増大に伴って、日本では大半のごみが焼却されてきた。 リサイクルが進むと同時に人口の高齢化が加速しているため、日本ではごみの量が減る一方だ。現在、全国で1千件の清掃工場が稼働しているが、焼却炉の
Nithin Coca
社会とつながり直す 自分を取り戻す

社会とつながり直す 自分を取り戻す

快晴だがビル風が強く叩きつけた2021年3月14日、幸子さん(30代、仮名)は都内新宿区の大久保公園で実施された「女性による女性のための相談会」に現れた。 新型コロナ感染が拡大する中で、短期契約の仕事も見つからなくなり家賃を2カ月滞納しているという。住宅確保給付金はとりあえず申請したが、所持金は3千円と小銭だけ。話を聞くと、こんな事情があった-。 幸子さんは、中学生の時から細胞に関する研究書などを読み漁り、高校では成績も良く、生物学者を目指して猛勉強した。世界の偉人伝シリーズで魅せられたのは「ファーブル昆虫記」や「シートン動物記」。生物の起源が神秘的だった。 富や名声には全く関心を持たなかったが、知識や情報には貪欲だったという。これには訳がある。幸子さんにとって、本の世界だけが唯一、家にいても安らげる場所だったからだ。 両親からの虐待 幸子さんは親から毎日のように虐待を受けていた。母親からはずっと嫌われていたような気がする。父親は彼女の機嫌をとるために幸子さんを殴るような人だった。腐りかけのご飯を出されたり、食事にゴキブリが乗っていたこともあった。完食するまで半ば軟禁状態で父
Chie Matsumoto
「路上から安定就労へ~女性相談会で私は変わった」

「路上から安定就労へ~女性相談会で私は変わった」

いまも続くコロナ禍はとりわけ女性に厳しい試練をもたらした。一方で、「女性による女性のための」支え合い活動が各地で立ち上っている。そうした危機的状況の中での新たな「出会い」がある女性の暮らしを大きく変えるきっかけにもなっている。 (メグさんの場合・前記事はこちら) 「この数カ月で1年分くらいの『ありがとう』を言っていますよ」 昨年、メグさんは、背筋をのばして少し照れ臭そうに話しはじめた。 関西出身のメグさんは20代でファストフード店の正社員職を見つけ、結婚を前提に交際していた男性もいた。しかし、二人の新居に母親が「同居したい」と言い出したことをきっかけに破談。家を飛び出して水商売に浸かり、デリヘル嬢として生計を立てていた。 病気をしたことで鬱状態になっていたメグさんは、気分を変えるために友人から3万円を借りて上京。遊びで遣ってしまった旅費を取り返したら関西に戻るつもりで、歌舞伎町の路上に立った。東京に来たのは7年ぶり。新規参入の若手が増え、一回の料金が3分の1に激減した。50代になっていたメグさんはさらに収入が減り、関西に戻るこ
Chie Matsumoto